2014年8月1日金曜日

自然治癒力を高める漢方薬の処方



聞きなれない漢方用語


漢方薬に関する情報を耳にする時、聞きなれない言葉が出てくる時があります。

薬を処方する際は、医師は漢方独自の理論から患者の状態を判断して、
体質や症状から、その患者にあった漢方薬を処方します。



漢方薬服用の前に体質をみる


漢方薬を処方する時には、それを服用する人の体質がとても重要です。
漢方医学の症状を含めた体質の分け方として、

「証」(しょう)と、「気・血・水」(き・けつ・すい)

があります。



体力と抵抗力をはかる「証」


病気に対する抵抗力や体力などは個人の体質などによって異なります。
「証」とは、体質や体力、病気に対する抵抗力、
症状のあらわれ方、体格などから判断します。

「証」にはさらに「陰と陽」、「虚と実」、「表と裏」、「寒と熱」
があります。



陰証と陽証


病気になった時に、抵抗力が落ちて新陳代謝が低下し、
体が冷えているのを「陰証」といい、

抵抗力があり、新陳代謝が活発化して熱のある状態を、
「陽証」といいます。



陰証(抵抗力が落ちている)

  • 手足などが冷えやすい
  • 発汗が少ない
  • 血圧が低い
  • 温かい飲み物や食べ物を好む
  • 下痢気味
  • 顔色が悪い
  • 顔色が青白い
  • 食欲不振
  • 体温が低め
  • お腹を押すと弾力がなく柔らかい

陽証(抵抗力がある)

  • 手足や体に熱がある
  • 発汗が多い
  • 血圧が高い
  • 冷たい飲み物や食べ物を好む
  • 便秘気味
  • 顔色が赤い
  • 食欲がある
  • 口渇がある
  • お腹を押すと弾力があり固い


虚証と実証


病気に対する抵抗力が衰えた状態を「虚証」といい、

体力が十分である状態を「実証」といいます。


虚証(虚弱体質なタイプ)

  • 体力がない
  • 体が細く、華奢、やせ型
  • 顔色が悪く、肌が荒れやすい
  • 細くて小さな声
  • 食べるのが遅い
  • 胃腸が弱い、下痢をしやすい、お腹の弾力がない
  • 抵抗力がない、疲れやすい
  • 寒がり

実証(健康的なタイプ)

  • 体力がある
  • 筋肉質でがっしりしている
  • 血色がよく、肌つやもよい
  • 大きくて太い声
  • 食べるのが早い
  • 胃腸が強い、便秘気味、お腹の弾力が強い
  • 抵抗力がある
  • 暑がり


表証と裏証


漢方医学でいう表裏とは体のことになります。

「表」とは体の表面や浅い部分のことで、
皮膚や皮下組織、筋肉、喉や鼻などです。
風邪をひいた時の喉の痛みや鼻水など、症状が表にでている、
浅いものを「表証」といいます。

「裏」とは体の中のことで、消化器官などの内臓部分にあたります。
症状が体内に出ているもの、または体内に留まって慢性化しているものを
「裏証」といいます。

漢方では病気は表から裏に移動するものと考えられています。



寒証と熱証

「寒」は熱が出て体温が上昇しても、寒気がしたり、
触ると冷たかったりする時の状態です。
手足の冷えや、顔色が青白い、冷やすと症状が悪化するものなどです。


「熱」は自覚症状や見た目に熱感がある事をいいます。
発熱や顔がほてって赤くなる、口が渇く、温めると症状が悪化するものなどです。



不調の原因をはかる「気・血・水」


漢方医学では、「気・血・水」がバランスよく体内を巡り、
臓器などの機能を正常に保つ事で、健康な状態になるとされています。

体調不良やさまざまな症状があらわれた時は、これらのバランスが崩れたり、
滞ったり、過剰または不足している状態だと考えられます。

「気」とは、生命エネルギーのことで、気が強い。元気がある、などの気です。
呼吸、消化吸収、神経系などの臓器や器官、自律神経に影響があります。

気が不足する「気虚・気鬱」、気の流れが滞る「気滞」、
気が逆流する「気逆」があります。

  • 気鬱…無気力や疲労感、だるい、食欲不振、など
  • 気滞・気鬱…頭重、喉が詰まった感じがする、息苦しい、お腹が張る、など
  • 気逆…のぼせ、どうき、発汗、不安感、驚きやすい、など

「血」とは、全身を巡って老廃物を回収したり、
栄養を与えてくれる。血液の事です。
循環器系やホルモンなどの分泌機能に影響があります。

血の循環が滞る「瘀血(おけつ)」と、血が不足する「血虚」があります。

  • 瘀血…月経異常、便秘、肩こり、色素沈着、お腹の圧痛、不眠、など
  • 血虚…貧血、皮膚の乾燥、脱毛、血行不良、眼精疲労、こむら返り

水」とは、体温調整や水分代謝をします。涙などの血液以外の水分です。
リンパ液、免疫系の機能に影響があります。

水の流れが滞る「水毒」があります。


  •  水毒…疲労感、むくみ、めまい、耳鳴り、頭痛、鼻炎、喘息、
         下痢、排尿異常、など



漢方薬と体質


個人の体質や状態、あらわれている症状を確認して分類、
そこから、その人にあった漢方薬が処方されます。

漢方薬は人間の持っている自然治癒力に働きかけて、
症状を良くすることに重きをおいているので、こうした診断が非常に重要となります。







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