2014年7月31日木曜日

葛根湯(かっこんとう)

頭痛や寒気、筋肉痛などの、風邪のひき始めに効果あり。


風邪をひいた時に飲む漢方薬といったら、
葛根湯を服用する方が多いのではないでしょうか。
葛根湯はテレビのCMなどでもよく耳にする漢方薬の中ではメジャーな薬だと言えます。

頭痛や寒気を感じるといった風邪の初期症状には葛根湯がおすすめです。



葛根湯が向いていない人


体力がなく、体の弱っている人
胃腸が弱っている人
暑がりで汗っかきの人(葛根湯は強い発汗作用があります)



葛根湯はこうした症状の場合に用いられます


風邪のひき始めで寒気がするなどの症状が出た場合

・汗の出る様子が全くない
・頭痛、寒気、発熱といった初期の熱性疾患がみられる
・首すじや背中がこっている

葛根湯は、比較的体力のある人(実証が中度以上)向きの漢方薬です


他にも葛根湯は

肩こり、筋肉痛、鼻炎、蓄膿症、結膜炎、扁桃炎、
慢性扁桃炎、中耳炎、耳下腺炎、気管支炎、
しっしん、じんましん、神経痛、リウマチ、五十肩、熱性の下痢


などといった症状に用いられます



葛根湯の効能


葛根湯は体を温めて発汗させる漢方薬です。お湯で飲むと効果的です。
服用後は厚着をしたり、布団に入るなどして、体を温かくしておきましょう。

また、筋弛緩作用、発散作用、疼痛作用などがあるので、頭、首、肩、背中などの痛みや炎症、筋肉のこわばりといった症状を抑えます。

炎症を鎮静させる効果おあるので、赤く腫れて熱をもった湿疹など、皮膚の炎症にもおすすめです。


葛根湯の成分と成分別の作用


葛根(カッコン) マメ科葛の根
筋肉のこわばりなどの緩和、体への水分(津液)の補給、鎮痛、解熱

麻黄(マオウ) マオウ科の地上茎
咳止め、発汗、利尿作用、眠気さまし

大棗(タイソウ) クロウメモドキ科ナツメの果実
体を温める、他の成分の作用を高める

桂皮(ケイヒ) クスノキ科トンキンニッケイ等の樹皮
発汗、血行を良くする

芍薬(シャクヤク) シャクヤクの根 
筋肉のけいれんや痛みを抑える

甘草(カンゾウ) マメ科カンゾウ属などの根や根茎
鎮痛、咳止め、解毒

生姜(ショウキョウ) ショウガの根茎
胃腸を温める、嘔吐を鎮める


相乗効果のあるもの

芍薬+桂皮 水分の消耗を抑える
桂皮+生姜 発汗作用を高める
桂皮+麻黄 発汗作用を高める
生姜+大棗 消化吸収を高める、芍薬の作用を高める
芍薬+甘草 胃の痛み、内臓や筋肉のけいれんを抑える
麻黄+生姜 体を温める、発汗作用を高める、関節痛の緩和




使用上の注意


  • 薬の使用にあたり、医師と薬剤師からの説明や、薬に添付されている説明書を読み、理解した上で服用して下さい。
  • 他の薬との併用、アレルギー、体質や症状に合わないなどで、体に不快な変化があらわれた場合は、ただちに服用を止め、医師や専門家に相談しましょう。
  • 長期にわたり服用する際は、医師、薬剤師、登録販売者に相談して下さい。



葛根湯の副作用


  • 麻黄には心臓や血管に負担をかける成分が含まれています。循環器系の病気がある方は注意が必要です。
  • 甘草の作用により、むくんだり血圧が上がってくる事があります。

下記の症状が出た場合はただちに医師の診察を受けて下さい。

  • 偽アルドステロン症…筋肉痛、血圧上昇、低カリウム症、倦怠感、手足のしびれ
  • 皮疹…皮膚のかゆみ、微熱、紅斑
  • 膀胱炎…頻尿や残尿感など
  • 肝機能障害…発熱、かゆみ、全身のだるさ、食欲不振、褐色尿、黄疸など

2014年7月30日水曜日

漢方薬を飲んでみる。その作用とは


漢方薬ってどんな薬?

薬局などに行って薬のパッケージを見ると、
「生薬配合」「トウキシャクヤクエキス配合」などを良く目にします。

これらは漢方薬と深い関わりがあります。

漢方薬とは、不調の状態(自覚症状)に基づいて処方されます。

西洋医学の検査では異常がなかった時など、
病気と診断されないような体の不調を改善したり、
病気になる前の体の不調を正常に整えたりする事を目的として処方されます。

最近何だか体だるい。時々めまいがする。
食事を楽しみたいのに、胃がもたれてしまう

などといった不快を感じる症状を改善して、体の状態を正しく戻し、
体全体のバランスを整える為に天然の原料から生まれた薬です。




漢方薬は何からできてる?


漢方薬に使われる天然の原料とは、大きく分けて3つ。
  1. 植物
  2. 動物
  3. 鉱物
例えば、植物は根、木、葉、皮など、動物は鹿の角や牡蠣の殻など、
鉱物は石膏や水晶などになります。

日常的に料理に使う生姜やにんにく、シナモンなども漢方薬の材料となります。


漢方薬はこれらの材料を、微妙なバランスで調合して作られます。

こうして配合された薬にはたくさんの種類があり、
さまざまな症状に合わせて自分に合ったものを服用する事ができます。

いつもと体調が違う、またそういった状態が慢性的に続いていると感じたら、
漢方薬を試してみると良いでしょう。


漢方薬って副作用はあるの?


ゆっくりじわじわ効いてくる事が多い薬なので、毎日飲む必要があります。
漢方は天然由来の成分でできている為、副作用は少ない事がほとんどです。
ただし、全くないわけではありません。

処方された薬が体に合わない場合は、なんらかの異常が体に現れるでしょう。
薬を飲み始めてから食欲がなくなったり、むくみが出る、動悸がする…
など体に異変を感じた時は、すぐに医師や薬剤師に相談して下さい。


ゆるやかに効き目がでてくる事の多い漢方薬ですが、即効性のある薬もあります。

漢方薬はたくさんの材料をブレンドして作る薬ですが、
組み合わせる生薬が少ないほど、その生薬の効能が強まるので、
即効性があるとされています。

例えば、筋肉痛や胃の痛み、頭痛などに効果があるとされる
「芍薬甘草湯」
この2種類の成分から作られている漢方薬は即効性のある薬です。

ただし、即効性がある=薬効が強い、という事ですから、
こうした即効性のある薬を飲む場合は副作用などに十分注意して飲みましょう。



漢方薬っていつ飲むの?


薬を服用する時、たいていの場合は食後に飲む事が多いでしょう。

しかし、漢方薬は空腹時に飲む方が効き目があるとされています。
天然由来の漢方薬は消化器官の働きに大きく関係があります。

胃酸という言葉とおり、胃の中は酸性の状態です。
漢方薬の成分(有機酸)は胃酸が多く出ている空腹時に飲む事によって、
成分の吸収率が上がり、より薬の効果を上げる事が期待できます。


また漢方薬に含まれている成分で「アルカロイド」というものがあります。

このアルカロイドは胃の酸性度が強い空腹時には吸収が悪くなります。
アルカロイドは薬効が強く、副作用に気をつけなければならない成分なので、
体への吸収は弱い方が都合がよいのです。


以上の理由から、漢方薬は食前に飲むのが良いとされています。

ただし、すぐに痛みを取りたい時や、症状を収めたいときはその都度服用しましょう。
また、種類によっては食後の服用を指示される漢方薬もあります。




いろいろな種類の漢方薬を飲みたいけど大丈夫?


漢方薬に含まれている甘草(カンゾウ)ですが、
多く摂取するとむくみ等の副作用がでる場合があります。

他にも薬の成分によっては効能を相殺してしまうものもあります。
複数の漢方薬を飲む場合は、医師に相談してから服用しましょう。