2014年9月2日火曜日

柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)


虚弱体質の寝汗や発熱、不眠を改善、長引く風邪にも効果的


虚弱体質を改善するには


人の体力には個人差があります。2~3kmほどの距離を歩いても全く平気な方もいれば、
2~3階に上がる階段ですら、疲れとだるさを感じてしまう方もいます。

病後や寝不足などで体が弱っているというように、要因が判明しているものもありますが、
中にはこれといった要因もなく、慢性的に疲れが残ってしまう体質もあります。

たいていの虚弱体質の方は胃腸の働きが弱いので、すぐ胃もたれなどを起こしてしまい、
しっかりと食事を取ることができません。

そのため、華奢で顔色が悪く、貧血気味であり、すぐ熱が出たり、
腹痛や下痢などを起こします。

また繊細な方が多く、不安などのストレスと抱えていることが特徴です。


こうした虚弱体質を改善するには、まず食事から見直さなくてはなりません。

バランス良く食べる事はもちろんですが、特にスタミナをつけるたんぱく質や脂質、
ビタミンB群を摂ることをおすすめします。

たんぱく質を含む食材としては、牛肉・鳥肉、魚、大豆などがあります。かつおぶしをかけたしらす干しなどはあまり胃腸に負担がかからないので、摂取しやすいでしょう。肉を食べると胃がもたれるという方は生ハムのサラダなどもおすすめです。

ビタミンB群を含む食材としては、豚肉、玄米、納豆、卵、牛乳、うなぎ、バナナなどがあります。

胃もたれして量が食べれない場合は、食事回数を増やすというのも手ですが、
しそやショウガといった胃腸の働きを促進する食材と合わせて食べるのもよいでしょう。


虚弱体質が漢方薬で改善する


柴胡桂枝乾姜湯は虚弱体質の方が服用することで効果を発揮する漢方薬です。

寝汗がひどかったり、発熱や動悸や息切れがするといった症状を穏やかに改善します。
また、風邪が長引いてしまって頭痛や微熱が続いているといった症状にも適応します。

ストレスで体調を崩した際の神経に関わる症状やぐっすり眠れない、
夜中に目が覚めてしまう、なかなか寝付けないといった症状にも用いることができます。



柴胡桂枝乾姜湯が向いている人

  • だるい、疲れやすい
  • やせている
  • 顔色が悪い
  • 脇腹の筋肉がはっている
  • 神経が繊細である(神経過敏)


虚弱体質で体力がない人向きの漢方薬です(熱虚証)



柴胡桂枝乾姜湯はこうした症状の場合に用いられます


寝汗、微熱、食欲不振、動悸、息切れ、のぼせ、イライラ、不安、緊張、
不眠症、神経衰弱、気管支炎、更年期障害、自律神経失調症、血の道症

「血の道症」とは妊娠、出産、産後、月経、更年期の時にあらわれる症状で、イライラして気分の浮き沈みが激しくなる、精神的に不安になるなどの、女性ホルモンの不足または過剰による、精神神経症や身体症状の事をいいます。


柴胡桂枝乾姜湯の効能


熱を下げ、炎症を鎮めて体内の熱と水分のバランスを整えます。
また、緊張や不安などを取りのぞいて、心を穏やかな状態へと導きます。


柴胡桂枝乾姜湯の成分と成分別の作用


柴胡(サイコ) セリ科ミシマサイコの根 
解熱、解毒、鎮痛、鎮静、抗炎症作用、抗菌作用

桂皮(ケイヒ)桂枝(ケイシ) クスノキ科トンキンニッケイ等の樹皮、枝の中身
発汗、血行を良くする、解熱、鎮痛、のぼせの緩和、枝より皮の方が作用は強い

乾姜(かんきょう)ショウガ科ショウガの根茎を蒸して乾燥したもの
体を温める、健胃・食欲増進、発汗作用、解熱、鎮静など(生姜よりも効果は抑えめ)

黄芩(オウゴン)シソ科コガネバナの根
抗炎症作用、抗アレルギー、下痢や嘔吐を鎮める、止血、肝機能の活性化、フラボノイドを含む

牡蛎(ボレイ)イタボガキ科のカキの左殻
鎮静、解熱、制酸、利尿、止渇、止汗、瀉下作用 

栝楼根(カロコン)ウリ科シナカラスウリの根
止渇、解熱、下痢止め、鎮咳、排膿

甘草(カンゾウ)マメ科カンゾウ属などの根や根茎 鎮痛、解毒、
咳止め、抗炎症作用、健胃消化


使用上の注意


  • 甘草が含まれているので、むくんだり血圧が上がってくる事があります。
  • 妊婦または妊娠していると思われる方は服用前に医師に相談して下さい。
  • 薬の使用にあたり、医師と薬剤師からの説明や、薬に添付されている説明書を読み、理解した上で服用してください。
  • 他の薬との併用、アレルギー、症状や体質に合わないなどで、体に不快な変化があらわれた場合は、ただちに服用を止め、医師や専門家に相談して下さい。
  • 長期にわたり服用する際は、医師、薬剤師、登録販売者に相談して下さい。


柴胡桂枝乾姜湯の副作用


(注意)
  • 皮疹(皮膚のかゆみ、発疹、発赤)
  • 消化器 (吐き気、腹痛、胃部不快感、下痢)

芍薬甘草湯などの甘草を含む漢方を飲む時は注意が必要です。
偽アルドステロン症を発症する場合があります。

※下記の症状が出た場合はただちに医師の診察を受けて下さい。

  • 偽アルドステロン症…筋肉痛、血圧上昇、低カリウム症、倦怠感、手足のこわばり
  • 肝機能障害…黄疸
  • 間質性肺炎…発熱、せき、呼吸困難、肺音の異常

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